RFPは、現在数多くの企業などで採用されているものです。自動車業界ももちろん例外ではありませんが、一般的にはまだそれほど馴染みのある言葉ではないかもしれません。RFPとは、英語の「Request For Proposal」の頭文字を取ったもので、日本語で言えば「提案依頼(書)」や「入札依頼(書)」といった意味合いの言葉になります。
これは、ある企業が製品・サービスなどを自社の外部から調達する際に、条件や仕様を明示した上でそれらに対する受注の提案を依頼することです。また、あるいは依頼のために作成する書類そのものを指す言葉でもあります。
RFPは既に幅広い業界で活用されており、その対象となる製品・サービスにはさまざまなものがあります。情報システムや情報サービスといった特に高度な専門性を必要とするITの分野で利用されることが多い言葉ですが、もちろんその分野だけに止まるものではありません。
RFPは、企業内での調達が困難であったり、合理的とは言えないありとあらゆる製品・サービスを外部から確保するために重要な役割を果たしているものです。自動車業界でRFPと言えば、まず第一に考えられるのが自動車部品の調達に関連するものです。
製品である自動車を組み立てて完成させるためには、多種多様な種類と膨大な量の部品が必要となります。そのひとつひとつを自社内での生産で確保することは、まったく合理的ではありません。実際には各自動車部品の製造・供給は下請けなどの外部事業者から調達するのが最良であり、そこで重要な役割を果たすのがRFPです。
ただし、外部調達の場面において、発注元の企業と受注先との間での説明不足や理解の食い違いは、トラブル発生の大きな要因ともなり得るリスクの大きなものです。そのような事態を予防・抑制するために作成するのがRFPで、これによって必要な条件や仕様が提示されることとなります。
RFPの作成では、受注先への要求は明確かつ具体的である必要があります。また、要求に対する優先度や妥協不可能な点を付すこと、提案書あるいは入札書の形式や提出方法の詳細などを示し、誰が見ても内容が明らかであることは欠かすことができないポイントです。
そしてまた、RFPは企業コンプライアンスにとっても大きな意味のあるものです。昨今では企業活動における法令遵守や企業倫理などの問題が報道などでクローズアップされ、企業にとってその重要性は以前よりはるかに増しています。
複数の調達候補の中から最終的な受注先を決定する過程の透明性や公正さの確保の観点から見ても、RFPの的確な作成と積極的な利用が果たす役割はとても重要だと言えます。